五月人形の選び方 前提編
ありがとうございます。 販売員の小川です。
選び方の前提につきまして、お話いたします。
そもそも、日本の甲冑というのはとてもカラフルです。
西洋の甲冑と言われて思いつくのは、鉄を着るといっても過言でないような形状の物を思い出します。 イメージはどこかの谷を急襲した国の兵隊が着ていたような鎧ですね。
(映画「300」のスパルタの戦士は半裸でしたが・・・)
西洋と日本とで製鉄の技術などの違いや文化の違いもあり、日本は日本で得意のガラパゴス進化を遂げていくんですね。元々、中国から伝来した鎧を日本風にアレンジしていきまして、初のメイドインジャパンの鎧のことを「大鎧(おおよろい)」と呼びます。
馬上戦が主だったそうで、それも刀で切り合うというより弓で射あったりしていたそうで、それに合わせた形状や装備だったそうです。
そこから集団徒歩戦にかわっていき、胴丸という形状の鎧や兜も「傘錣(かさしころ)」と呼ばれる形状に進化していきました。
・・・飽きてませんか?どうします?続けます?
もう歴史については止めます。専門家でも無いですし、違うこと言ってるかもしれませんので。でも、一応勉強した内容でお話しておりますので、私の勘違いがなければ、そんなに変なことは言ってないはずです。
わかりました。小札(こざね)と呼ばれる部品や他の細かな部分などの話は、またの機会にします。
本題に入るのにだいぶ時間がかかりそうですので・・・
とにかく、私見ですが色んな色の紐で編んで作るのが日本の甲冑の最大の特徴だと思います。
その紐のことを縅(おどし)や縅糸(おどしいと)などと呼んでいます。
その縅の色で模様をつくったりしています。
何かに由来している物だったりするようではありますが、お節句の場合、デザインという位置付けで製作されていると考えていただいて問題ございません。
三角形が「沢瀉(おもだか)」で、植物の沢瀉の葉が似ているからその名がついて、沢瀉は生命力の強い植物だから縁起がいいという風に言います・・・が、生命力の弱い植物っています?それにいたとしても、そんな縁起の悪い名前つけないのでは?と私は思っておりますので、「「沢瀉」とという名前の柄」くらいに思っていただいて、デザインとして選択していただければと思います。
ちなみに、↑の画像の赤い三角形が沢瀉です。
色は色んなのがありますのでね。赤だけではございません、あくまで形です。
裾に行くごとに濃い縅糸を使う・・・言い方を変えると、下に行くごとに濃くなるグラデーションを、「裾濃(すそご)」と呼びます。その逆のグラデーションもあります。
適当な店員は、「裾濃」は血が濃くなっていくから縁起がよくで、その逆のグラデーションは薄くなっていくから縁起が悪いとか言うんですよ。
もうちょっと気の利いたこと言えばいいのにと思います。
現代人以上に験を担ぐ当時の武士の美意識なめんなよと、先祖が町人の私は思うのですよ。
もっとマシなセールストークを考えていただきたい。
ちなみに、下から上に濃くなるグラデーションを「匂縅(においおどし)」と呼んでいますが、色を匂いに例えて呼ぶというこの奥ゆかしさ。日本人の美意識と名前のつけ方ですよ。
それを理解せずに上っ面のセールストークをするな! 私は今後、毎日鏡を見て、今のセリフを言いたいと思います。
ここで注ですが、下から上に濃くなるグラデーション全てが「匂い」と呼ぶわけではないかもしれません。調べても確認できませんでした。申し訳ございません。
他にも色々あります。
色のついた紐 / 白い紐 / 色のついた紐の順番にしたのを中白(なかしろ)と呼びます。
例えば、裾が緑 / 中間に白 / 上部が緑 ですと、緑の中白 になります。
市松模様になるように編んだのが、「敷目(しきめ)」と読んだりします。
ちょっと見にくいかもしれませんが、↑が「敷目」です。緑の敷目となります。
勿論、一色で編み上げた物もありますし、二色で編んだのもあります。
段縅(だんおどし)などと呼んだりします。
鎧はその縅が前から見ても見えるのでいいんですが、兜の場合は後ろ側を覗かないと見えないので、ちょっと見といた方が選びやすくなるかもしれませんね。
前から見たときに印象が一番大事というのは変わらないんです。
ただ、多数の皆様が一度は通る現象の「なんか全部同じに見える」という場合に、縅の色も見ておくと良さそうです。
ひな人形に例えていうなら、正面から見たときが「顔」縅が「着物」みたいな感覚です。
作り手も販売する我々も、縅については実はとてもこだわっています。
買い手のお客様も縅を確認しておいて損はないと思います。
ようやく、次から具体的にお話していきます。
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